※本記事はこゆきの別ブログからの転載です。
はじめに
日本では昔から「妊婦は安静」「身体を大事に」「動いちゃだめ」…妊婦の運動を制限する迷アドバイスがたくさんありました。でも、昔の人って大きいお腹で超働いてたよね…。走ったって別によくない…?
実は近年、妊娠中の身体活動の重要性が世界的に注目されています!特に、適度な有酸素運動としてのランニングは、母体の健康維持に寄与し、胎児への悪影響も少ないことから、多くの研究で支持されています。しかし、ある調査によると、ランニング習慣のある妊婦の約半数が妊娠中にランニングを控えていることが報告されています。ショック!
“keep up your daily physical activity or exercise for as long as you feel comfortable.”
-NHS guidelines
この記事では、科学的な根拠に基づいて、妊娠中の運動/ランニングの有用性、安全性や注意点について簡単のまとめますね!
ママの健康に良いことばっかり
妊娠中の定期的な有酸素運動は、以下のような健康メリットをもたらします!
- 妊娠糖尿病のリスクを約28~59%低減
- 妊娠高血圧症候群のリスクを約39%低減
- 産後うつ病のリスクを約25%低減
- 妊娠中の腰痛や便秘の軽減
- 遷延分娩や帝王切開のリスク低下
すごくない?適度な運動をすることで、妊娠合併症を防いで心身ともに順調な妊婦生活につながることが明らかになってるのです。
※参考文献:Ribeiro, J Perinat Med. 2021; Tenforde, Sports Health. 2015; Melzer, Sports Med. 2010
分娩がスムーズになる
運動したら早産になったり、赤ちゃんが小さく生まれたりしないか心配な方もいるのでは?でも、ランニングを継続した妊婦と停止した妊婦の間で、以下の項目に有意な差は認められていません。
- 平均妊娠期間:279.0日(運動継続群) vs 279.6日(運動停止群)
- 出生体重パーセンタイル:46.9%(継続群) vs 44.9%(停止群)
むしろ、妊娠中の過度な安静は先ほどの妊娠合併症を増加させることが明らかになっていますし、ランニングを継続した妊婦では、分娩時間が短縮する傾向があることも報告されています。ちゃんと体力や筋力がないと、お産も大変!
※参考文献:Kuhrt, BMJ Open Sport Exerc Med. 2018; Meah, Br J Sports Med. 2020; Cai, Med Sci Sports Med. 2020; Barakat, Eur J Obestet Gynecol Reprod Biol. 2018
どれくらい運動するのが推奨されてる?
どうやら妊娠中の運動は危なくないどころか、メリットがありそうって思えましたか?じゃあ、どれくらい運動したらいいの?というのを、ガイドライン別にまとめました。だいたい、妊娠中の適切な運動は「中等度」の強度で行い、週150分以上の運動が健康メリットをもたらすとされています。
機関 | 推奨運動時間 | 心拍数基準 | 主観的運動強度(Borgスケール) |
JSOG | 条件付きで可能 | 初期: 120bpm, 中期: 140bpm, 後期: 150bpm以下 | 「ややきつい」以下 |
ACOG | 週150分の中強度 | 年齢調整で60-80%(概ね140bpm以下) | Borgスケール12~14 |
NICE | 中強度有酸素運動推奨 | 推奨値は個別に設定 | 同上 |
WHO | 週150分 | 明確な上限値なし | 中強度運動 |
息がすこし上がるくらいの強度で週に150分の運動、けっこうきつそうだよね。でもそれくらい運動しても大丈夫、というか、運動したほうがママにも赤ちゃんにも良いってことみたいです!
ちなみに、ランニング以外だとどんな運動がいいかというと、
- ウォーキング
- フィットネスバイク
- ダンス
- 水泳
- エアロビクス
- 軽い筋トレ
- ヨガ、ピラティス
などです。逆に推奨されないのは、コンタクトスポーツや転倒転落リスクのあるスポーツ、特殊な環境で行う(ダイビングや高所スポーツなど)です⚠
これだけは注意!
ランニングにあたって、以下のことには気をつける必要があります。
- 心拍数の管理:心拍が最大の心拍数の90%をこえると、赤ちゃんへの血流が一時的に低下する可能性があります。最大心拍数の90%以下に抑えましょう。ゼーゼー、ハーハーと息が苦しくならない程度ですね。心配であればランニングウォッチでしっかりと計測して管理してみましょう。
- 水分補給:脱水を避けるため、十分な水分補給が必要です。
- 転倒リスクの回避:不整地でのランニングを避け、転倒しやすい運動は控えましょう。
- 高所・ダイビングの回避:(ランニングじゃないけど)標高2500m以上での運動やダイビングは胎児への影響が懸念されるため避けるべきです。
あとは、絶対禁忌事項⚠として。
以下の症状や疾患がある場合、かならず医師と相談し、運動を避けたほうが良いでしょう。
- 破水、切迫早産、出血、前置胎盤、子宮頸管無力症
- コントロール不良の既往症(糖尿病・高血圧・甲状腺疾患)
- 重篤な既往症(心血管疾患・呼吸器疾患)
※参考文献:Pivarnik, Clin Obestet Gynecol. 2016; Salvesen, Br J Sports Med. 2015
ちなみに海外のアスリートは…
でも運動してる妊婦さんなんて周りにいない…という人は、これをぜひ見てほしい!

もともとすごいエリートランナーの方ですが、妊娠23週でハーフめっちゃ速かった!たしか75分とかでゴールしてたはずです。すごくないですか??


もちろんアマチュア市民ランナーの例もたくさんあります。妊娠31週、32週でそれぞれフルマラソンを見事に完走されてます!一番後期の例だと、36週とかもありました…(これはマジですごい)。
産後はいつから復帰しよう?
そして、産後もできるだけ早く復帰したいですよね。妊娠中に適切なトレーニング管理を行っていた場合、産後2〜3ヶ月で部分的なトレーニング再開が可能であり、平均して6週間以内に運動復帰できることが報告されています!もっと早く復帰できそうな気もするけれど、あんまり早く再開すると骨盤底筋群のダメージが長引いて、違和感や尿失禁がながーく続くこともあるみたい。
無理せず、体調と相談しながら段階的にリハビリしましょう。本格的なランニング再開に先立って、骨盤底筋群のトレーニングを必ず行うことが推奨されています!!
※参考文献:Woodroffe, Sports Health. 2024
まとめ
どうでしたか?心配されがちな妊娠中の運動ですが、母体の健康維持や分娩リスクの低減に貢献する可能性があることが示されてました!また、過度な安静はむしろ妊娠合併症のリスクを高める可能性があるため、適切な管理のもとで運動を継続することが推奨されます。
つまり、運動は、ママから赤ちゃんへの贈り物になるってことですね。ただ、あくまでも個人の体調や医師の指導を考慮しながら、安全な範囲で実施することが重要ですね。主治医と相談の上、心配のない範囲でやってみてくださいね。読んで下さって、ありがとうございました!
ちなみに、妊娠後期にいたるまでの私は、こんな感じで走ってました。きっともっとたくさん走ることも出来たと思いますが…、運動を少しでも継続できただけでも、心身の健康が保たれてハッピーな妊婦生活につながってたと思います。そして、なんと運動のおかげ(?)か、「つわりなし・腰痛なし・便秘なし」の3なし妊婦生活で、とっても快適でした〜!
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